海苔漁師になって三十有余年、繁忙期が明けた途端に、気が抜けたように、パチンコ通いに明け暮れていた徳田時生は、ある日、自宅で自棄酒を飲んで寝ていた時に、つけっぱなしのテレビから流れてきた情熱的なピアノの音色に、かつてない衝撃を受ける。
「オイも、この曲を弾いてみたか!」。曲目は、フランツ・リストの名曲「ラ・カンパネラ」。それまでの人生で、音楽には全く無縁。楽譜も読めず、「ド」の位置にすら戸惑う。妻や息子からは「弾けるわけがない」と猛反対され、仕事仲間からも馬鹿にされながら、時生は楽譜を購入し、1日4時間、長い時には8時間、ピアノに向かい、練習を重ねるー。
「オイも、この曲を弾いてみたか!」。曲目は、フランツ・リストの名曲「ラ・カンパネラ」。それまでの人生で、音楽には全く無縁。楽譜も読めず、「ド」の位置にすら戸惑う。妻や息子からは「弾けるわけがない」と猛反対され、仕事仲間からも馬鹿にされながら、時生は楽譜を購入し、1日4時間、長い時には8時間、ピアノに向かい、練習を重ねるー。
